新型こけし誕生の地「白石」
白石で生まれた新型こけし
第二次大戦後、東北地方だけでなく、各地の観光地で新しいこけしが販売されるようになりました。それらは新型こけしと呼ばれましたが、その誕生の地は白石であるとされています。白石で生まれた新型こけしの魅力や歴史についてご紹介します。
新型こけしとは?
こけし種類は伝統こけし、新型こけし、創作こけし、木地玩具に分けられ、全日本こけしコンクールでも第1部(伝統こけし)、第2部(新型こけし)、第3部(創作こけし)、第4部(木地玩具)、第5部(応用木製品)と部門分けされています。新型こけしは「量産可能で市場性のあるもの」と定義されています。
伝統こけし
伝統こけしは「系統的な伝統性があり、師弟関係が明確であるもの。且つ、その工人が制作した本人型も含む。」と定義されています。系統は諸説ありますが、白石市では10系統に分類しています。弥治郎こけしもそのうちの1系統です。
新型こけし
新型こけしは「量産可能で市場性のあるもの」と定義されています。分業による生産で量産が可能なほか、自由な発想で形態を工夫したり、数本を組にした作品があるなどの特徴があります。
創作こけし
創作こけしは「一品製作で芸術的価値のあるもの」と定義されています。「こけし」であるため、ロクロまたは旋盤を使用するという制約はありますが、その制約を一品作品として独創的に表現する点に特徴があります。
木地玩具・応用木製品
木地玩具は「ロクロ技術を主体とした玩具」と定義されています。独楽やえじこ、雛こけしなど子どもの遊び道具から可動部の多い複雑な機構をもつ大人の鑑賞に堪えるものまで、多くの種類があります。 一方、応用木製品は「ロクロ技術を主体とした日常生活用品や木製品」と定義され、盆、椀、鉢、茶托、茶筒など日用生活用品のほか、最近ではキーホルダー、一輪挿しやメモスタンドなど、新しい製品も生み出されています。
新型こけしがきっかけだった全日本こけしコンクール
昭和34年、白石市で第1回全日本こけしコンクールが開催されましたが、当初の開催目的が白石の新型こけしの振興と普及でした。それほど当時の白石市の新型こけし製造は急成長を遂げた産業で、第1回コンクール展示品のほとんどが新型こけしでした。
第3回からは、第1部(伝統こけし)、第2部(新型こけし)、第3部(創作こけし)の3部門に分かれ、さらに木地玩具とろくろ応用木製品の部門を加えて、全国のこけしファンに支えられながら現在に至っています。
現在、全日本こけしコンクールは白石市で5月の大型連休中に開催されています。
全日本こけしコンクール
全日本こけしコンクールは60年以上の伝統と、最優秀作品に内閣総理大臣賞が授与されることから、全国各地からこけし収集家やファンで賑わいます。会場では、コンクール出品作品の展示をはじめ、歴代内閣総理大臣賞受賞作品の展示、招待工人の実演販売、こけしの絵付け体験など、こけしにちなんだ様々なイベントが行われます。また、白石温麺をはじめ地場産品の販売もあり、こけしファンのみならず、皆様にお楽しみいただけるイベントです。
こけしファンの裾野を広げている新型こけし
白石市内で新型こけしを製作している佐々木こけし工房 佐々木功さんに新型こけしについてお聞きしました。
佐々木さんの製作しているこけしは問屋さんを通して日本全国の観光地でお土産品として店頭に並んでいます。例えば、関西方面では日本のお土産としてインバウンドの皆さんに好評です。また、東北の観光地では、東北地方のお土産として国内観光客の皆さんに手にとっていただいています。
入口は観光地で手にするこけしでも、その後、手にした外国人の方から連絡があり特別に注文をもらうこともあるそうです。各観光地の要望に合わせたデザインに柔軟に対応し製作できるのも新型こけしの魅力であり、こけしファンの裾野を広げる役割を果たしているのではないでしょうか。